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進行中の作業 (WIP)

進行中の作業(WIP: Work in Progress)とは、ワークフローにおいて着手から完了までの間にある未完了の作業項目およびその数量を指す。カンバンやアジャイル手法では、WIPに上限を設ける「WIP制限」を通じてプルシステムを確立し、マルチタスクの削減・品質フィードバックの促進・ボトルネックの可視化を図る。リトルの法則に基づき、WIPを適切に制御することでリードタイムの短縮と予測可能性の向上が可能であるが、システムの安定性が前提となる。

進行中の作業(WIP: Work in Progress または Work in Process)とは、ワークフローの「開始」点を超え「終了」点に到達していない、システム内に存在する着手済みかつ未完了の作業項目、あるいはその数量を指す[1][2]。着手されてから完了に至るまでシステム内に滞留しているすべての作業項目とも表現され[3]、SNFW(Started but Not Finished Work)とも呼ばれる[1]。単に状態を表す指標としてのWIPと、過剰な抱え込みを防ぐ方針・制限としてのWIPは区別して扱われる[4]。カンバンシステムのメンバーは、ワークフロー全体でこの作業項目数を制御しなければならない[5]。

WIPの制限および制御に基づき、能力に応じて作業を引き込むプルシステムが生み出される[5]。カンバンボードのカラムやスイムレーンごとにWIP制限を設定し、プル型システムを確立することがフロー最適化の基本原則となる[3]。チームや各工程に対して上限値を明確に定義して過負荷(オーバーワーク)や需要過多を回避し[1][2]、制限を下回ったタイミングを新しい作業を開始するシグナルとして機能させる[4]。また、WIP制限を超えた割り込みや外部からのプッシュを明確に防止することが推奨される[1]。なお、サイクルタイムが長すぎる場合、スクラムチームが最初に検討すべき改善アクションはWIPの削減である[4]。さらに、ボード外で進む見えない仕事(Hidden WIP)となる浮遊作業項目や、トラッカー上でクローズ済みにもかかわらず進行中に残存するゾンビWIPはフロー指標の算出を歪めるため、指標の分析に先立ちボードと実態の同期が不可欠となる。

明確なWIP制限を設けることで、マルチタスクに伴うコンテキストスイッチや認知負荷、切り替えコストを低減し、タスク完了に向けたメンバーの確約と集中力を高める[5][4][2][3]。これにより、仕掛かりタスクの放置を防ぎ、チームの自己管理力、コラボレーション、フローの安定性の改善が期待できる[4][2]。

WIPの制御・削減はリソースの過負荷を解消し、タスクの滞留を防止することで、フローを滑らかに維持し継続的デリバリーの効率を高める[2]。これにより、フロー効率、リードタイムやサイクルタイムが改善され、システムの予測可能性向上や品質向上が実現する[4][2][1]。さらに、プロセス内の阻害要因やボトルネックが迅速に可視化され、品質フィードバックの早期化や、チーム全体での問題解決、継続的なカイゼンが促進される[2][3]。待ち行列理論のリトルの法則(L = λW)によれば、平均仕掛品数(L)を制限することで、アイテムの平均滞留時間(W)を抑制・安定化させることができる[3]。ただし、リトルの法則が有効に機能するためにはシステムが数学的に安定状態にあることが前提条件であり、到着率が処理能力を大幅に上回る環境ではWIP制限のみでフローを制御することが困難となる点に留意が必要である[3]。

緊急対応などでWIP制御上の許容可能な例外が発生する場合、その条件はワークフローの定義(DoW)の一部として明確に定義し、透明性を確保する必要がある[5]。また、カンバンボード上で各列の見出しの下に囲まれた値で制限され、WIP制限により開発チームは作業の問題について即座なフィードバックを得られる[6]。各段階への流入や流出を防ぐことで、ボトルネックを特定しやすくなる[6]。ワークアイテムが進行中の状態を示すため、プロジェクト管理が可能になる[6]。

  • WIPの水準を低く保つことはプロジェクトのフローを高め、その結果としてサイクルタイムの短縮、リソースの最適化、利益の向上をもたらす[7]。
  • 所属タグ: Workflow Management Capacity Planning Kanban
  • カテゴリー: Kanban & Flow
  1. Open Guide to Kanban(ライセンス: CC BY-SA 4.0) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5

  2. Integrating DAST in Kanban and CI/CD: A Real-World Security Case Study(ライセンス: CC BY 4.0) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7

  3. A Novel Technique to Assess Agile Systems for Stability — 「彼らが特定したのは、進捗状況の追跡のための指標の一つである「Work in Progress (WIP)」(訳)(ライセンス: CC BY 4.0) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6

  4. Kanban Guide for Scrum Teams 2021 — 「進行中の作業(WIP: Work in Progress)とは、スクラムチームが作業を開始したが、ま だ終了していない作業項目のことを指す。」(ライセンス: CC BY-SA 4.0) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6

  5. Kanban Guide 2025(ライセンス: CC BY-SA 4.0) ↩ ↩2 ↩3 ↩4

  6. 12. Wikipedia (2025) ‘Kanban (development)’. Available at: https://en.wikipedia.org/wiki/Kanban_(development) (Accessed: 22 June 2025). — 「(開始点と終了点の間のすべてのタスクは「進行中の作業」(WIP) とみなされる)。」(原文: “Any work items between a started point and a finished point are considered work in progress (WIP).”)(訳)(ライセンス: CC BY-SA 4.0) ↩ ↩2 ↩3

  7. Modern Project Management Approaches in Uncertainty Environments: A Comparative Study Based on Action Research — 「WIPの水準を低く保つことでプロジェクトのフローが高まり、その結果、とりわけサイクルタイムの短縮、リソースの最適化、利益の向上がもたらされる。」(原文: “By maintaining low levels of WIP, project flow is enhanced, thereby resulting in cycle time reduction, optimization of resources, and improved profit, among other things.”)(訳)(ライセンス: CC BY 4.0) ↩